気管支拡張症

気管支拡張症とは

気管支が非可逆的な拡張をきたした病態です。気管支が拡張すると、気管支の浄化作用が低下 し、痰がたまって細菌などが繁殖しやすく気管支炎や肺炎に罹りやすくなります。また、拡張した気管支には血管が増え、血痰や喀血も出現することがありま す。下記のような症状がある方は罹患している可能性があります。

  • 持続する咳、痰(黄色~緑色)、時に血痰や喀血が出現
  • 副鼻腔炎(蓄膿症)と言われたことがあったり、現在治療中の方
  • 幼少時、肺炎にかかったことがある方

原因/病因

1.先天性(生下時より気管支拡張が存在)

2.後天性

1)気管支繊毛運動の機能異常;気管支線毛運動の機能障害が基礎にあり、気道感染を繰り返して気管支拡張症が出現します。副鼻腔炎を合併していることが多くみられます。
2)幼少時期の重症呼吸器感染症;病気に罹った部位の気道が損傷をうけ、その部位での感染を繰り返し、気管支拡張症が出現することがあります。

3.他疾患に引き続き発症

肺結核、肺化膿症、塵肺などの疾患に引き続き、出現することがあります。

症状

色の付いた痰(黄色から緑色のことがが多い)と咳が、一緒にでることが特徴です。発熱を伴うこともあり、感染が拡がると呼吸困難がみられます。痰に血が混じったり、喀血(咳とともに肺から血を吐くこと)が出現することがあります。

診断

胸部X線写真 気管支壁の肥厚や嚢胞状に拡張した気管支所見が見られますが、軽度な症例では はっきりしないこともあります。以前は、気管支の中に造影剤をいれ、気管支の拡張部分を確認する検査を行っておりましたが、現在は、侵襲性の少ない胸部 CTの検査によって、気管支の拡張病変を評価できるようになりました。

治療

1.気道のクリーニング

  • 気管支の中に痰をためないことが基本で、痰をできるだけ切って気管支に中をきれいにしておくことが必要です。
  • 痰が出しやすくする薬を内服したり、体位ドレナージ(痰が出やすくする体位とる)や胸部軽叩打法を行ったりします。体位ドレナージや胸部叩打法は当院のリハビリ科で指導を行います。
  • 痰を切れやすくするため、水分補給も有効です。

2.感染の対策

  • 肺炎や気管支炎をを合併した時、発熱や痰の量が増えた時は、抗生物質を内服したり、注射したりします。
  • 最近は、ある種の抗生物質を少量内服することで、症状がかなり抑えられることもあることがわかってきました。

3.血痰、喀血の対策

  • 血痰も伴っているときは、血を止める薬(止血剤)による治療も加えます。
  • 喀血が続く時は、止血剤の注射の他、気管支鏡で出血している気管支に直接止血剤を注入したり、大腿部から動脈にカテーテルをいれ、出血に関わっている血管(動脈)を探し、その血管をふさいでしまう治療(気管支動脈塞栓術)も行います。
  • 感染や喀血を繰り返し、気管支拡張の部分が限局している場合、手術を行うこともあります。
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